井野誠一著『金正日の遺言』

 元外交官の井野誠一氏が書いた『金正日の遺言』にいくつか注目すべき点があったのでここに記述してみたい。

 「金総書記の考え方はこの間基本的に全くブレてないということだ。それは『核開発の完全放棄はしない。核開発そして核の保有は体制の維持、国家の安全保障にとって不可欠である』との考えである」
 「米国ら他国のいかなる干渉、妨害があっても核開発を続けるし、我々が先に白旗を掲げて、これを放棄することは無い」

 このように金正日は考えているらしい。そして彼らの究極的な目的は「オバマ政権に対し、従来の休戦協定を平和条約に切り替え、そして北の現体制並びに後継体制への安全を保証させること」にあるらしい。金正日はこの目的を核を維持したまま行おうと考えているようだ。

 ちなみにこの本はやたらと「平壌筋」とか「消息筋」という情報源で書かれているのだが、私にはそれが本当に正しいのかはわからない。ただこの本を読んだ印象では、こういう本に特徴的な至る所にある論理の破綻はみられない。この著者はとても慎重な人であると推察する。

 金正日は日本については次のように考えているらしい。

 「北側にはこの間変わらぬ認識がある。平壌情報によると、それはまず拉致問題を認めたことは絶対的な過ちであったということだという」
 「日本側が折れるまで、日本の要求はいっさい無視せよ。また6カ国協議でも日本の主張を無視しその存在自体が阻害要因だと訴えよ」

 最後に、著者の井野氏は「少なくとも近い時点でどちらが一転その姿勢を大きく変えることで事態が緩和される気配は見えない」とアメリカと北朝鮮の関係について指摘しているが、ついさっきクリントン元大統領が平壌から帰ってきたばかりである。

 これからも朝鮮半島情勢から目が離せないようだ。

 
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by masaya1967.7 | 2009-08-06 07:23
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