基地問題を考える


 岡田外相は普天間基地を嘉手納基地に統合する事に意欲を見せ、何を考えているか全くわからない防衛相はマニフェストを無視して現行計画を続行しようとし、ゲーツ国防長官は現行計画を見直すなら普天間基地はそのままだと脅かし、鳩山首相はまだ決める必要が無いと答えています。

 筆者のような基地問題の素人にはどれが良いのかさっぱりわかりません。そこでここでは基本に戻ってそもそも日本はなぜアメリカに基地を貸すようになったのでしょう。元ウズベキスタン大使・孫崎享氏は『日米同盟の正体』のなかで次のように書いています。

 「日米安全保障関係の取引は、米国が日本国内に基地を持つ、日本が米国側の陣営につく、日本に攻撃的兵器を持たせない代わりに米国は日本を守るという取引である」

 簡単に言えば冷戦中、日本はアメリカに守ってもらう代わりに基地を貸していたのである。

 ところが冷戦が終わり、現在のロシアがスターリンが第2次大戦の終盤に考えたように北海道に侵攻しようしているとは全く思えない。ロシアは現在、西側に対して自分の通常戦力に相当自信を無くしており、自分が侵略された場合は「先制的核攻撃」を行うといっている。

 すると、日本を攻撃しようと考えている国は中国ということになる。産經新聞の湯浅博記者は次のように書いています。

 「上院外交委の東アジア太平洋問題小委員長のジム・ウェブ議員は最近の公聴会で、『東シナ海と南シナ海での中国の主権主張は米国としても懸念している』と警戒感を強めていた。しかも、ウェブ議員は尖閣諸島の主権や統治は米国が認めてきた経緯があり、中国が日本の沖縄への主権さへ公式に認知しない姿勢は強引すぎるという異例の発言をした。」(『正論』12月号97頁)

 確かに日本にとってウェブ議員のような発言はありがたいことである。しかしアメリカの政権がそのように考えているかどうかは一議院の発言と峻別する必要があります。ここで簡単にこれまでの歴史をふりかえってみます。

 1996年台湾の総統選挙の最中、中国がミサイル発射を行った。クリントン政権は台湾海峡に空母2隻を派遣して中国を抑制した。民主主義を守ろうとするアメリカはさすがであると思っていたが、2年後の1998年クリントン大統領は日本に立ち寄る事なく中国を訪問して共産党の親分江沢民と一緒になって日本を批判していた。

 ブッシュ(息子)は大統領選挙期間中、中国の事を「戦略的競争者」(a strategic competitor)と表現していた。ところが大統領になってすぐに米軍の偵察機と中国機が衝突して米軍機が海南島に不時着したという事件が起こった。この事件から彼の対中姿勢は変わり、独立指向の強かった台湾もいつの間にか「中立」化されていた。

 そしてオバマ大統領が就任したが、そもそも彼には中国と対決しようとする発想が無いように思われる。中国軍がしばしば日本の領海や領空を侵犯した事件が新聞で報じられるが、沖縄にいるアメリカ軍がスクランブル発進を行ったというような記事を私は読んだ記憶が全くないのである。日本の領空や領海は本当にアメリカによって守られているのだろうか。

 そもそも核やミサイルといったものを除いて日本が着実に通常兵器で武装していたらロシアや北朝鮮、中国を恐れる必要などあるのだろうか?(どの国も過去に通常兵器を用いた戦争で日本は勝利している。日本人がはっきりと負けたと自覚しているのは対アメリカだけであろう)日本が自国の防衛を今までさぼってきたからアメリカの基地要求にはっきりとNOといえないのである。戦後自民党が結党されたときその「政綱」には素晴らしい事が書かれていた。

 「平和主義、民主主義及び基本的人権尊重の原則を堅持しつつ、現行憲法の自主的改正をはかり、また占領諸法制を再検討し、国情に即してこれが改廃を行う。世界の平和と国家の独立及び国民の自由を保護するため、集団安全保障体制の下、国力と国情に応じた自衛軍備を整え駐留外国軍隊の撤退に備える。

 これが文字通り実行されていたなら基地問題は現在とは全く違うように展開していたであろう。
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by masaya1967.7 | 2009-11-11 01:34
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