人気ブログランキング | 話題のタグを見る

韓国における「反日」の考察 後編


 さて前編において近代における国家というものは対外政策に関して矛盾するものを国内に抱えていることを示した。では韓国ではどのような対外政策が矛盾をはらんでいるのだろうか。私がみるところ日本に対する態度にそれが如実に現れている。

 朝鮮日報や中央日報などの韓国主要紙のアンケートで最も嫌いな国はどこかと韓国人が聞かれれば日本は必ずダントツの1位になる。一方見習うべき国はどこかと聞かれればこれも必ず日本が1位となる。

 「大嫌いな日本をこれからも見習おう」というオピニオンが矛盾でなくてなんなのだろう。

 対外政策について矛盾した感情を抱いているのは、日本やアメリカでも同じでそれ自体は普遍的な事柄なのだが韓国の場合は何故それが日本に対してだけ著しく発露するのだろうか。おそらく、韓国は日本を通して近代という時代を受け入れたからではないのかというのが筆者の仮説である。

 例えば韓国人学者が、日本統治以前にも韓国には近代経済の芽が存在し日本が植民地統治を行わなければ韓国はもっと早く発展していたという意見を述べているが、ハーバート大学のカーター エッカートの『日本帝国の申し子』が詳細に調べたように日本の統治時代に近代経済が発展したのが事実であろう。現在においても韓国の財閥の指導者の子弟は誰か必ず日本に留学させているということを大前研一が書いていた。

 韓国が日本を通して近代という時代に適合していったことが日本に対する矛盾した考えを持つ理由である。植民地にされた日本に対しては憎いという気持ちを持つ一方、近代の利便性を象徴した日本には憧れの気持ちを持つといった具合である。

 澤田克己氏は『「脱日」する韓国』で冷戦構造が終わったことで韓国が中国に目を向け日本がかって韓国社会でしめていた特別の地位を回復できるかどうかは疑問だと書いたが。本当に彼らはよくも悪くも日本を意識しないですむことになるのだろうか。これまで書いた通り韓国の「反日」は彼らの持つ朱子学的世界観や冷戦構造が主たる原因ではなく、日本を通して「近代」という時代を受け入れたことに私はあると思う。そこで本当に韓国人が日本を意識しなくなるのは、「近代」という時代区分が終わったときなのであろう。

 いったいいつになったら「近代」は終わるのだろうか。
by masaya1967.7 | 2006-10-09 07:35
<< 北朝鮮の核実験 韓国における「反日」の考察  前編 >>