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『インテリジェンス 武器なき戦争』を読んで

 『インテリジェンス 武器なき戦争』のなかで佐藤優氏が朝鮮半島情勢について興味深いことを書いているのでここに書いてみたい。

 1 「核クラブ」(米英仏露中の核保有国)は北朝鮮をクラブメンバーにしないとの腹をかためている。

 2 インテリジェンス・コミュニティーにおいて、北朝鮮が核兵器、弾道ミサイルを手放す可能性はないとみている。

 3 「核クラブ」とイスラエルは、北朝鮮の核・ミサイル技術の第3国への移転阻止を絶対防衛線にしている。その絶対防衛線を維持する為に、「核クラブ」は北朝鮮が核保有国となったことを認めないし、また核廃絶を最後まで要求する。

 4 「核クラブ」は北朝鮮との対話路線に踏み切る。そして対話を通じ、外圧を口実に団結している金正日政権中枢部に隙間を作り出そうとしている。一部主要国のインテリジェンス機関はこの隙間を巧みに衝いて北朝鮮の体制転換を真剣に考え始めようとしている。

 さすがの分析であると私は思う。しかしながらこの政策が成功する為には中国の協力は何にも増して必要である。現在の時点で中国は北の体制転覆までは考えていないだろうし、核放棄の為に北朝鮮に圧力を加えるかどうかもさだかではない。佐藤氏の分析が正しければ6カ国協議はいずれ行き詰まることは確かである。
by masaya1967.7 | 2006-12-15 05:02
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