「週刊朝日」の姜尚中

 何週かに渡って川人博弁護士と姜尚中氏とが「週刊朝日」において激しい論戦を繰り広げているが、二人の論点がかみ合ってないせいかお互い言いっ放しになっている感がいなめない。ここでは姜尚中氏の北朝鮮に対する論点にしぼって書いてみたい。

 彼の願望は「北朝鮮の核放棄と朝鮮半島の非核化は、それにむけたステップであり、その延長上に米朝国交正常化が成し遂げられ、南北朝鮮・米・中4カ国による平和協定の締結が実現されれば、名実ともに東北アジアの地域の冷戦時代は終わることになる」ということにつきるだろう。

 私も、このような状態になるのが理想だと思う。ただし冷戦時代が終わるというのは言い過ぎで、あくまでもデタントが達成されるということに過ぎない。冷戦が終わるということはアジアにおいても共産党支配が無くなったときのことをいうのである。「朝まで生テレビ」などにおいての姜尚中氏の主張も同様なのだが、彼の言うことを北朝鮮がいつも聞き入れないということが問題なのである。今回の6カ国協議の問題でも明らかなように、北朝鮮は本当にこちら側が譲歩すれば核兵器を放棄する用意はあるのだろうか。94年の核危機以来の歴史を振り返れば、金日成が主席のときならば核の放棄と安全保障の交換はあったかもしれない。しかし金正日の治世になってもそれは可能なのだろうか。(さらに言えば、金正日が核兵器を巡って父親を謀殺したという説もあるぐらいなのだから)防衛研究所の武貞秀司氏のように現在の情勢を正確に認識してきた人は、一貫して金正日の核保有の意思を指摘してきた。その金正日に対して姜尚中氏はいかにして核放棄を飲ませるつもりなのだろう。

 さらに姜尚中氏はもし自分の望む通りのシナリオに向かったら、「そうなったとき、否応無しに、現在の北朝鮮の体制は、何らかの「変革」を余儀なくされるはずだ」と述べているが、もしそれが事実ならば、そんな危険なシナリオに金正日が乗ってくるはずがないと考えるのが自然ではないのか。結局彼のいうことは現実感の全くない理想論にすぎないのである。
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by masaya1967.7 | 2007-05-16 02:12
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