伊藤貫氏の戦略

 今日紹介したいのは国際政治アナリスト伊藤貫氏の戦略である。彼は在米経験が長く、片岡鉄哉氏亡き現在においてアメリカのことを最も良く知る評論家の一人である。彼が『正論』1月号に「オバマ米新大統領が日本にもたらすもの」という論文を書いています。

 オバマ大統領率いる民主党政権には「アメリカは日本に自主防衛させてはならないが、中国の軍備増強に反対する必要は無い。日本は米中両国が共同して封じ込めておくべきだと考えるものが多い。」という。さらに彼はアメリカが日本を裏切った米朝交渉を次のように解釈する。

 「このまま北の核兵器増産とミサイル増産を放置しておくと、日本が自主防衛能力を始めかねない。しかし、日本から自主防衛能力を剥奪したことは戦後のアメリカの対日政策の根本だ。北朝鮮の核兵器問題で何らかの進歩があったようなイメージを作り、日本の自主防衛を阻止しなければならない」

 これには思い当たる節がある。これまで何回かヘンリー・キッシンジャーの北朝鮮問題の論説を日本語で読んだが、どれも簡単に解決するという口ぶりで書いていた。私はそれがキッシンジャーのアジア情勢に対する無知からくるものと思っていたのだが、そんな深謀遠慮があったとは。さすがに希代の戦略家といわれるだけのことはある。

 さらに日本が直面するのは米中による封じ込めだけではないと伊藤氏はいう。いずれ2020年までには中国の実質軍事予算が世界一の規模になる結果、

 「たった一回戦争に負けただけで『自分の国は自分で守る』という当たり前の義務を果たすことをやめてしまった日本は今後『偉大なる中華帝国』の属領となるだろう。」

 そこで、そのようなことが起きない為には、「1自主的な核抑止力を含む自主防衛戦力の整備、2インドやロシアなどとの関係を強化し日米同盟を相対化させ、3ヨーロッパ、ロシア、インド、イスラエルなどと軍事技術協力を勧めること」を説くのである。

 私は伊藤氏の意見に反対ではないが、この戦略はタイミングを間違えるともろに「米中同盟」の反撃を受けると思う。次回は私の考える戦略を書いてみたい。
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by masaya1967.7 | 2008-12-03 15:16
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