自由貿易について

 下村博士は『日本は悪くない』において自由貿易が危険なものになる例として、インドとイギリスの関係をあげている。

 「イギリスは自由貿易によってインドを完全につぶしてしまった。インドの紡績産業をつぶして同国を完全に綿花栽培国に転落させたのである。」

 現在アメリカではバイ・アメリカン条項を巡って、保護主義の善し悪しが議論されているが、戦前みたいなブロック経済になる恐れは無いのだろうか。この問題について下村博士は

 「当時は、輸出超過を出さなければならない、といって各国が競争した保護主義だったが、現在の保護主義は、輸入超過に悩んでいる国が、なんとか輸入超過を減らすためにとろうとしている政策である。・・・・・
 輸入超過国が輸入超過にならない程度まで国内産業を保護するというのは、国内産業の雇用維持政策である。これを悪い政策とはいえないし、またこの政策をとったからといって世界経済が螺旋的に縮小することはありえない」

 アメリカの雇用維持のためにバイ・アメリカンをおこなってもやむを得ないと下村博士は考えていたのである。

 下村博士は結論として次のように述べている。

 「あえて言うなら保護主義こそ国際経済の基本では無いだろうか。まず自国の経済を確立するには弱い部分を保護する必要がある。そうしなければ芽も出せないまま消滅してしまうからだ。また、国内の産業が確立できないまま世界市場に組み入れられてしまえば、清朝のように半植民地化されるのがオチである」

 この部分はアメリカ、ドイツ、日本の場合にはそうだったかもしれないが、明らかに中国やインドの現在の姿からはかけ離れていると思う。中国の場合は、世界の国々から工場を誘致して経済を発展させたし、インドの場合も自由貿易に対するトラウマがあったから、第2次大戦後は保護主義的な政策をとったが結局うまくいなかった。やはりインドの場合も国を開くことによって経済を発展させたのである。

 
[PR]
by masaya1967.7 | 2009-03-07 18:30
<< アメリカの regime ch... オルブライト元国務長官 >>