2009年 09月 16日 ( 1 )

現在の日露関係

 つい最近出版された木村汎教授の本『現代ロシア国家論』を読みました。その中に北方領土に対するロシアの戦略が書かれています。

「気の短い日本人がしびれをきらして北方4島の返還要求を断念することをロシアは気長に待つ。これこそが、ソ連時代を含めてロシアの全政権に共通する戦略といえよう。……現在のロシアについていえば、日露間の領土論争を『2島だけの返還』で決着させて平和条約を結ぶ。これがプーチン単独政権、そしてメドベージェフ-プーチンの単独政権の対日外交戦術である」

 木村教授の説を裏付けるように、今日の『朝日新聞』でメドベージェフ首相は、「極端な立場を離れることだけが成功への道だ。鳩山新首相にもそう提案する」と語っているそうです。

 そして、例の鈴木宗男議員は7/22に鳩山由紀夫と会談し、民主党政発足後半年以内に解決の道筋をつけることで合意し「北方領土問題は、鳩山政権で解決できなければ、未来永劫チャンスはないと思っています」と語っています。

 鈴木議員のこの言論には全く根拠がありません。もちろん木村教授も鈴木議員のやり方には否定的です。今日から発足する鳩山政権がこの鈴木議員の言葉にのせられてロシアとの外交をすすめると、日本国内で問題になる事は必至です。

 そもそもロシアとの外交において時間の経過は日本に不利に働くのでしょうか。実は現在ロシアにおいて極東の危機が進行中です。それは、もし現在の人口減少が続けば、「極東」は廃墟と化すか、事実上中国の勢力圏にとりこまれてゆくか、いずれかの道しか残されてないことです。

 木村教授の本には「シベリアと極東の近代化のための重要なパートナーとして、ロシアは日本を当てにすべきである。日本はこれらの地域でドイツやEUがロシアの西部地域で果たした役割を演じる事ができるのである」という一研究者の言葉を引用しています。同じような意味でジョージ・フリードマンも『次の100年』という本で2020年頃には、maritime Russiaは日本の影響下にあるだろうという予測をたてています。

 これらの事を示す兆候はロシアの極東部では起きています。そこでは日本の中古車が人気だったのですが、プーチン-メドベージェフは自国の自動車産業を保護するためか、関税を高くしたり、右ハンドルの車を禁止しようとしたあげくにデモが発生したのです。私は今までモスクワなどでデモがあったのは知っていたが、極東部でおこったことはあまり聞いた事が無かった。さらにロシアが日本の中古車に高関税をかけようとする事に対して、文句をいう日本の政治家がいないのも驚きである。日本にとっての利益は、ロシア極東部の住人とモスクワとの矛盾を拡大する事であるにもかかわらず。

 いずれにせよ、時間が経過する事はロシアよりも日本の方が有利なのである。ところで、せっかく日本において4島返還というコンセンサスが出来たのにも関わらず、鈴木宗男議員のように段階的返還論などに譲歩する日本人がたまに現れてくる理由は何であろうか。木村教授は日本人の「短気」のせいにしておられるが、私は日本人が長時間の「緊張」に耐えられない性癖にあると思っている。
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by masaya1967.7 | 2009-09-16 10:07