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論理と前提条件 その3

 今話題になっている、オウム事件で死刑判決を受けた豊田亨被告の同級生、伊藤乾氏が書いた『さよなら、サイレント・ネイビー』を読んだ。このなかで気になったことがあったので書いてみたい。

 豊田被告の修士論文のタイトルは『ゲージ対称性の起源』というものであった。

 著者曰く、「君が女だってことを仮に、疑う余地無く認めるとしましょう。そうするとこれが<原理>になる。なぜ、とか問わないわけ。ゲージ対称性を原理と思う立場は、ゲージ原理を疑わない。君が女だという事実とおなじくらいそれは当然の前提として認めることにする、これが<原理>。」

 豊田被告は、修論のタイトルにあるようにその原理(前提条件)を疑ってみようと論文を書こうとしたのである。ところが東大の物理学科は卒論はないし、修論はレビュー(他人のやったことの追試)だけでいいのである。東大にオリジナリティーは全く必要ないのであった。その状況に豊田被告は絶望したみたいである。

 「関連の仕事で豊田のオリジナルのモデルの取り組みを指導してやる体制があったら、俺は確信あるよ、豊田はオウムにはいかなかった。」

 理論が本当に正しいかどうかは、その理論自体からは絶対導き得ない。前提を疑うことから真の科学が始まるのである。ところが社会科学の場合は往々に前提条件をすっ飛ばして論理を語ることが非常に多いと思う。そこでお互い何をしゃべってるかわからない『バカの壁』ができてしまうのである。
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by masaya1967.7 | 2006-11-25 01:02

非核4原則?

 『自民党の中川政調会長は23日、岐阜市で講演し、自らが提起した日本の核保有論議に党内外から批判が出ていることについて、「最近は、(核兵器を)作らず、持たず、持ち込ませず、言わせずの『非核四原則』と言うそうだ。私は非核三原則は認めるが、四原則は認めない」と反発した。

 さらに、「議論もしては駄目だという人がいるのであれば、今度は五原則で『考えさせず』となることを恐れる」と指摘し、「日本を侵略させないために何ができるか考え、最大限努力する必要がある」と論議の必要性を重ねて強調した。

 中川氏は8日の講演では、米中間選挙の結果や北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議の行方を見守る必要があるとして、核保有に関する発言は当面、控える意向を示していた。』
読売新聞

 ナイス 中川政調会長
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by masaya1967.7 | 2006-11-24 00:26

クーデター

 タイでクーデターが起こったとき、私の脳を一瞬かすめたのは韓国でクーデターは起こらないのだろうかという疑問だった。イ・ジョンシク氏が書いた『愚かな韓国人に鉄槌を』にノ・ムヒョン政権に対する軍人たちの不満が縷々述べられていたからだ。

 アメリカでは韓国に対する不満は相当たまってるとみて『朝鮮日報』などではアメリカが韓国を「いわゆる同盟国」と呼んでいると嘆いていた。

 もし韓国で米韓同盟の崩壊に危機感をもって軍人がクーデターを起こせば、一体アメリカはどうするのだろうか。
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by masaya1967.7 | 2006-11-24 00:12 | 国際政治

キッシンジャーの6カ国協議論

 昨日の『読売新聞』でヘンリー・キッシンジャーが柄にも無く妙に明るい文章を書いているので批評してみたい。

 「もし6カ国協議が失敗し、北朝鮮の核計画が続くなら日本の最後の手段は自前の核兵器の開発である。交渉の進展の鍵を握るのは米中の協力である。」

 アメリカはCIAの報告書が示したように北朝鮮が短期的に崩壊するものだと仮定し、北朝鮮との合意をまじめに遂行してこなかった(吉田康彦氏がいつも強調すること)。さらにレジーム・チェンジ(体制転換)の模範例になるはずのイラクがぼろぼろになって現在あるがままの北朝鮮と交渉せざるをえないところに追い込まれた。

 一方中国もこれまで北朝鮮に対して圧力を用いるのを嫌がっていたのだが、日本の核武装という悪夢におびえたのか北に圧力をかけて6カ国協議に引っぱりだしてきた。そこで中国がこのままの政策を続けてくれるなら、北朝鮮の核放棄に成功するかもしれない。

 そこでキッシンジャーは「いまや成功は手の届くところにあるように見える」と書いたのである。

 この論理の問題点は果たして中国がこれまでの「北の崩壊を防ぐ」という政策を転換させ、北朝鮮の核放棄を最優先課題に持ってきたかということにある。中国が今回北朝鮮に何らかの圧力をかけたことを私は否定しない。しかし北朝鮮の良心であったファン・ジャンヨプ氏が核実験の翌日に『スーパー・モーニング』で北は6カ国協議に強い立場で戻ってくると予測したことを無視することはできない。北朝鮮もこれ以上国際社会を無視すると体制がもたないと思ったのかもしれない。いずれにせよ中国が政策を転換したというのはキッシンジャーの過大評価である。

 もしキッシンジャーの予測通りに米中の協調で北の核問題が解決したら、もっとも悲惨な状態に陥るのは日本であることは間違いない。東アジアの秩序が米中の協調で解決するのであれば日本の9条改憲は全く必要なくなるし、米中の決めたことにお金を払うだけの永遠のシビリアン・パワーになってしまうのである。片岡鉄哉氏が長年警告してきた「米中排撃」論の完成である。

 中国にとっても「北朝鮮の存続」よりも東アジアの「米中協調」の方が長い目で見たら中国の国益にかなうはずである。しかしながら歴史には短期的な国益にこだわったあげく長期的な国益を失ってきたことがいかに多かったか。戦前日本が唯一こだわったのが「支那からの撤兵」であった。その結果アメリカと戦争となり、満州も台湾も朝鮮も失ってしまったのである。

 おそらく中国も北朝鮮をとって「米中協調」を捨ててしまうだろう。後に後悔しても遅いのである。
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by masaya1967.7 | 2006-11-21 22:14 | 国際政治

論理(仮説)と前提条件

 もう少しわかりやすく論理(仮説)と前提条件の関係を説明しようと思う。いつだったか『朝まで生テレビ』で東大のカン・サンジュン教授が仮に日本と北朝鮮が国交を結べば「拉致被害者はきっと全員帰ってくるだろう」と述べたことがある。

 ところが中川八洋筑波大学教授の本には、「日本と北朝鮮が国交を結んだら金正日は拉致被害者を全員殺すだろう」と書いてあった。

 「日本と北朝鮮が国交回復したら」という同じ仮説を用いているにもかかわらず、カン氏と中川氏では180度反対の結論がでている。このような結果になるのは二人の学者の前提条件が全く違うからである。中川氏は金正日が異常な「人格」の持ち主であるとして論理を展開している。一方カン氏は同じ朝鮮民族であるからなのだろうか金正日を普通の「人格」ととらえているから、拉致被害者が全員帰国できるなどと答えるのである。

 私は、中川教授のようにいいきる自信は無いが、カン氏のいうようにはならないと断言できる。拉致を簡単に命じるような人間は普通の「人格」を持っているとは到底思えないからである。
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by masaya1967.7 | 2006-11-21 00:21 | 国際政治

グレゴリー・クラークを論破する。

 「関係正常化なくしては、北朝鮮政府としては、自国が依然として敵国リストに入れられておりいつ攻撃されるか分らないという判断に立たざるを得ない。少なくとも核とロケットの準備があることを何らかの形で見せないと攻撃されやすい。原因と結果のこの論理が、日本人と日本のメディアにはほとんど何の印象も与えていない。」

 この文章はグレゴリー・クラーク(元オーストラリア外交官)がジャパン・タイムズ紙に書いたものの一部である。本当に北朝鮮と日本やアメリカが国交正常化したら金正日は核を放棄するのだろうか。 彼のサイトではクラーク氏が今まで書いてきた論文が掲示してあったので少し読んでみた。彼の言いたいことは次の一文で簡潔にあらわすことが出来る。

 「日本という国は論理より感情が優勢な部族社会である。」

 だから北朝鮮のミサイル発射なども日本人は感情的にしか行動することが出来ないのだと氏はみているのである。

 クラーク氏の間違いは論理と感情が簡単に分離できると考えるところである。物事を論理的に考える為にはなにがしかの前提条件を置かなければならない。数学の場合は皆が正しいと思える「公理」が出発点となると藤原正彦氏は述べている。ところが人間社会の場合、なかなか皆が納得して賛成する前提条件など存在しないであろう。そこで藤原氏は日本が歴史的に培ってきた「慣習」を大切にしなければならないと言われるのである。西部邁氏は「安定した感情」が前提条件にならなければならないと同じようなことを主張している。

 さて、国交正常化すれば北は核やミサイルを放棄するというクラーク氏が考え、吉田康彦やカン・サンジュンがきっと賛成する政策にも暗黙の了解で前提条件が潜んでいる。それは「金正日も日本やアメリカの指導者と同じように行動するはずだ」という考えである。拉致を指導し、罪亡き人を簡単に強制収容所送りにする暴君を普通の指導者と考える前提条件に間違いは無いのだろうか。

 前提条件が間違っていればいくら「論理」が正しくともとんでもない結論にしか至らないのである。

 一部族の反論でした。
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by masaya1967.7 | 2006-11-20 00:26 | 国際政治

イラク問題

ブレア英首相は17日放送されたカタールの衛星テレビ「アル・ジャジーラ」英語放送のインタビューに答えて、イラク戦争後の同国が「ひどい」状況になっていると認めたそうです。

 ニューズ・ウイークのコラムニストであるファーリード・ザカリアは現在アメリカがもっている唯一の手段は「撤兵するぞと脅かす」ことだけだと述べています。アメリカが実際に撤兵すればイラクで激しい内戦が起こることは火を見るよりも明らかなので、各宗派がそれを恐れて妥協するはずだというのです。じっさいどうなるかは神のみぞ知るといったところです。

 ところでこれからアメリカはどう動くのでしょうか。ヴォイス12月号で日高義樹はアメリカが「孤立主義」に向かうと予測しています。一方でアメリカはイランと戦争をするのだという意見もあります。「朝鮮半島」問題を抱える我々も気をつけてアメリカの動きを見ていかなくてはならないでしょう。

 
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by masaya1967.7 | 2006-11-19 01:40 | 国際政治

中田英寿氏と安倍首相夫妻が面会−APEC開催のハノイで

このところ、中田英寿氏の話題をちょくちょく見かけるようになった。中田に関する話で私が面白いと思ったのは西部邁氏が『本日の雑談10』で語っていることだった。

 中田選手は20代前半日本の国際試合で国家を口を開けて歌っていなかった。西部氏は中田が在日と聞いたことがあると前置きして、日本に対するある種の反発がそのような行動をとっていたのではないかと推察する。ところが彼がヨーロッパに行った後に国家を歌うようになった。

 「ヨーロッパというのはアメリカ以上に人種であれ文化のことであれ厳しい社会です。そこに行った時に、所詮日本人としてしか扱われない。……彼は状況を理解して、どこかの段階でフィクションとして自分は日本人だとしようと決めたのではないか」

 と、西部氏は語っている。

 さらに弘兼氏が、彼がプレー中に仲間に対していろいろ指示する態度をふまえて、「これから中田がどこにいくにしても、リーダーとしてのノウハウみたいなものを考えないと、また組織の中で孤高の人になってしまう恐れはありますね」と鋭く指摘していた。

 彼は村上龍とか日本の総理とかじゃないと素直にしゃべれないのだろうか。
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by masaya1967.7 | 2006-11-18 02:07

台北帝大と京城帝大の現在

 現在使っているパソコンのモニターが台湾のBenQ社のものだったので、インターネットで会社概要をなにげなく見ていた。すると多くの幹部連中の学歴がTaiwan National Universityとなっていたので、今度は台湾国立大学をネットでみてみた。この大学の歴史の欄には日本の植民地時代にできた台北帝国大学が発展してできたものだとちゃんと書かれていた。

 そこで同じく植民地時代にできた京城帝大の方も見てみようと思い、ソウル国立大を調べてみると案の定と言うべきか、第2次大戦後に何も無いところからできたような書かれ方をしていた。京城帝大は跡形もなくなっていたのである。

 こういうのを見るだけでも、日本人としてはどうしても台湾に愛着がわいてしまうよなー。
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by masaya1967.7 | 2006-11-17 01:37

セクハラ

 朝日放送(大阪市北区)は14日、同社の男性アナウンサー3人にそれぞれ別のセクハラ行為があったとして、2人を停職3カ月、1人をけん責処分にしたと発表した。3人それぞれのセクハラ行為については被害女性の意向もあり、時期や被害者ら詳細は公表しないと説明。同社広報部は「被害者、視聴者の信頼を損なったことをおわびするとともに、社員教育を徹底する」とのコメントを出した。
(毎日新聞)

 今日朝日放送『ムーブ』をみていたら、この問題でいきなり冒頭から謝っていた。私の記憶が正しければ、「加害者の名前を出すと被害者に迷惑がかかる」と訳の分からない説明をしていた。今考えてもさっぱり意味がわからない。

 結局、身内に甘いだけなのだろうと思う。
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by masaya1967.7 | 2006-11-14 21:37