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ミッドナイト イーグル

 今度映画化される『ミッドナイト イーグル』を読んでみた。こういう国際謀略ものって、政治的プロットが現実にあり得なかったりして幻滅することが多いのだが、この本はそういうことも無く一挙に読めた。筆者の高嶋哲夫氏が「中国が北朝鮮を支援している」との仮説をもとに書いていることに共感したのかもしれない。ついでに同じ著者の『intruder』という作品も読んだのだが、これも結構面白かったので、他の作品にも挑戦しようと思っている。

 ところでこの『ミッドナイト イーグル』映画化される訳だが、吹雪の山岳地帯が主な背景ということでアマゾンの書評にあるように織田裕二主演映画『ホワイト アウト』の二の舞になることが危惧される。日本の映画でこういう謀略ものでちゃんとした物を見たことが無い。例外は『亡国のイージス』でラストの部分を原作から変えることで見るに耐える映画となっていた。阪本順二監督の力量が大きかったと思う。(ちなみに彼が撮った金大中の映画もよかった)

 いずれにしろ脚本がしっかりしないと悲惨な映画になると予想される。
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by masaya1967.7 | 2007-01-27 22:20

日本人エコノミストの能力について

 エコノミストの池田信夫という人のブログを感心して読んでいた。半分ぐらいは理解できたと思う。この人は西部邁氏の教え子だったらしいが、原書が読めないとか勉強が嫌いだとか師のことを罵倒していた。

 ところで、私がここで問題にしたいのは西部邁氏の「語学力」ではなく池田氏を含む日本人エコノミストの「数学力」である。ノーベル賞でも日本人はまだ経済部門でとっていないし、これからとれる可能性がいったいどのくらいあるのだろうか。

 ずいぶん前になるが今は廃刊になった『This is 読売』でポール・クルーグマンの評論を読んでいたく感心し、彼のサイトにあった本格的な論文を読んでみようと思った。しかしながらその論文は数式だらけでほとんど理解できなかった。彼だけでなく、グリーンスパン前連邦銀行総裁やバーナンキ現連銀総裁、サマーズ前財務長官などもみんな高等数学で経済モデルを作るプロであった。

 翻って、日銀の総裁である福井氏や竹中前大臣が高等数学を使って自分なりの経済モデルを作れるのかと聞かれれば、否定的に考えざるを得ない。日本のエコノミストに世界で通用する「数学力」が存在するのか疑問に思うのは現行の大学入試制度にある。経済学部は文系の一部であり、大学入試において「文系数学」は「理系数学」より簡単であった。現在においても、高校で一番数学ができる人間が経済学部に行こうなどとは考えないであろう。

 日本人の数学の能力は世界と比べて決して劣る物ではない。『フェルマーの最終定理』なんかを読んでも、それを解くのに貢献した日本人は数名存在するのである。フィールズ賞で何人かの日本人は受賞しているのである。そこで、いっそ経済学部を理系に組み込んでしまえばどうだろうか。クルーグマンも本当は歴史が好きだったが経済学が文系ではもっとも「科学」に近いと語っていた。

 もちろん「理系」に偏重して、前提を無視すれば「オウム」みたいになってしまう可能性もある。しかし数理を無視して経営すれば「ライブ・ドア」になってしまうのである。ようはバランスの問題といえよう。しかし現在の経済学の主流がいかにマルクスを読み込むかでなく、人を説得する経済モデルを作るかにあるとするならば、何らかの改革が必要なのは間違いない。
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by masaya1967.7 | 2007-01-26 17:09

米朝合意?

1月22日12時10分配信 読売新聞

 【ソウル=福島恭二】22日付の韓国紙、朝鮮日報は、ソウルなど複数の外交消息筋の話として、北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議の米朝首席代表が16〜18日にベルリンで行った会談で、北朝鮮が核放棄に向けた「初期段階の措置」として、寧辺にある5000キロ・ワット実験用黒鉛炉を含む核施設の稼働を停止し、国際原子力機関(IAEA)の監視を受け入れる案で、歩み寄ったと報じた。

 北朝鮮は昨年12月に行われた6か国協議では、米国の金融制裁解除が核問題を議論する前提になるとの立場を示していた。米国は「初期段階の措置」を北朝鮮が実施すれば、経済支援の用意があるとの立場を示しており、報道が事実であれば、次回協議では、この案を元に、具体的な話し合いが行われることになりそうだ。


 詳しいことはまだわからないが、米朝が歩み寄った模様である。ニュース23で手嶋龍一氏がアメリカがイラク戦争で苦しい立場に追い込まれたからと解説していたが、北朝鮮もそれ以上に苦しんでいるに違いない。少しずつ譲歩して援助をもらう策略であろう。しかしながら核兵器は手放さないつもりである。
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by masaya1967.7 | 2007-01-23 01:04

中国の民主化 2

 アヘン戦争の時に、中国が気付いたことは中国の持っている「中華思想」が前々通用せず、中国人たちはある種の「屈辱感」を感じていたのである。

 天安門事件で中国人学生の民主化の要求を武力で弾圧した共産党政府は、共産党の権威を高める為に「愛国主義精神」を鼓舞する動きにでてきた。石平氏は『私は「毛沢東」の小戦士だった』のなかで中国の「愛国主義精神」を高めるメカニズムを次のように指摘している。

 「列強たちに恣意的に虐められて、侮られたという中華民族が、かって被った心の傷を追体験させることによって、現在の中国国民にこうした侮辱や、侵害に対抗するための過剰な自己意識を植え付けることであった」 112頁

 もちろんこのような精神的な動機付けとともに実際年に10パーセントの経済成長を何年にわたって続けている物理的な成功がなければ、「愛国主義運動」はうまくいかなかったであろう。

 そこでこのような中国人の過度な愛国心に水を差すことが出来るのは、経済成長の限界にぶつかった時であろうと思う。このところの石平氏の論文をみていると、至る所で経済的な綻びが見られると言う。もちろん今まで何人もの評論家が中国のバブルの破裂を予測して外しているので確実なことはいえないが、少なくとも高度成長が続いている限りは中国人民が共産党に反抗することは考えられないだろう。
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by masaya1967.7 | 2007-01-22 18:39

『朝日VS産経 ソウル発』を読む

 黒田勝弘記者は『朝日VS産経 ソウル発』で次のように語っている。

 「僕は長期封じ込めの圧力論者なんだけど、隙間の無い制裁を含めた圧力は政権内部に深刻な路線闘争を引き起こすことになるんです。ところがこの間、その深刻さを金正日および政権中枢にいる人間に認識させてこなかった訳です。中国も韓国もしきりに援助してきた訳だから。そこを封じ込めれば間違いなく内部葛藤、路線闘争になりますよ。」  147頁

 私は彼の認識は正しいと思う。しかしながら韓国はともかく中国はまわりがどういったって厳しい制裁には加わってこないであろう。現在の共産党政府は北朝鮮の人権なんか知ったこっちゃないし、緩衝国家としての北朝鮮の存続が何より大切なのである。そのため黒田氏の戦略は重大な欠陥が存在するのである。

 いずれ中国に民主主義的な政権が出来れば、北朝鮮なんかは一日ももたないはずである。それまではこの変な国家とはあまり関わらないのが懸命と思う。

 中国に北朝鮮の核武装をやめさせる契機は、どう考えても日本の核武装しかないはずである。片岡鉄哉氏はブッシュ大統領は賛成しているというのだが、ライス国務長官の言動を見ていてすんなりと納得できるものではない。いずれにせよ日本で「非核三原則」がメインになっているうちは、中国が北の核武装を止めるインセンティブは全然働かないのは確かである。
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by masaya1967.7 | 2007-01-20 19:12

イラク戦争の支那事変化

 評論家の清谷信一氏は以前からアメリカのイラク戦争は支那事変に似てきていると主張しておられましたが、今回ブッシュ政権が2万人を増派するとの発表でますます泥沼に入り込む様相を示しています。

 中国のような巨大な国家と戦争で勝つ為には、相手の聖域を奪うような挟み撃ち戦法しかなかったのですが、日本にはそれを達成する兵站も人員も無かったのでした。これをイラク戦争に当てはめたら、シリアとイランに戦争を仕掛けて、両国からの人や物の移動を断ってしまうことが考えられますが、そんなことができるのでしょうか。

 昭和12年に始まった支那事変は昭和20年になっても続いていました。アメリカ国民の我慢の限界も近づいてくるはずです。
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by masaya1967.7 | 2007-01-15 14:58

日高義樹氏曰く安倍首相は絶対に靖国には行きません。

 今日、日高義樹氏とキッシンジャーの対談を見ていたら、日高氏が安倍総理は中国で首相在任中靖国に参拝しないと約束したそうである。本当かどうか分からなかったのだが、そういえば思い当たることがある。

 『朝鮮日報』で安倍総理に近いと言われている中西輝政京都大教授が安倍総理は靖国に行かないと語っていたのである。中西氏は小泉首相在任中強硬に靖国参拝を主張し片岡鉄哉氏から「靖国特攻」と言われていたのである。中西氏はいつから態度が変わったのだろうか。

 結局安倍首相は最初から麻雀でいうところのベタ降りしていたのである。ショック!
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by masaya1967.7 | 2007-01-07 17:30 | 国際政治

中国共産党が崩壊するとき 1

 いったいいつになったら中国共産党は崩壊するのだろうか。今回はこの問題を考えてみたい。

 以前にも書いたことなのだが、近代国家というものはそれぞれに対外政策に矛盾を抱えている。アメリカには「孤立主義」と「十字軍」という分裂を抱えている。以前キッシンジャーを引用したので、今回はニューズ・ウイークのコラムニストであるファーリード・ザカリアの本から引用してみる。

 Since McKinley, Washington had alternated between idealistic pledges it could not fulfill ( and had no intention of fulfilling )- like the Open Door notes, the 1928 Kellog-Briand Pact, which outlawed war as an insturment of natioanl policy, and the Stimson Doctrine, which refused to recognaize the Japanese subjugation of Manchuria in 1932- and well-meant but misguided crusades to change the world, as at Versailles.
 マッキンリー大統領以来ワシントンでは次のようなことが交代で起こった。一つは達成することの出来ない理想主義敵な誓いを発すること(達成するつもりの無い誓い)。例えば中国に対する門戸開放宣言、戦争を国策の手段として禁じたケロッグ・ブリアン宣言や日本の満州占領を認めないスチムソン宣言などで、もう一つはベルサイユ会議などの世界を変えようとする良心的ではあるのだが間違った十字軍である。

 このwell-meant but misguided crusades to change the world 以上にアメリカのイラク戦争をあらわした言葉を私は知らない。

 日本の場合は、一方では「アジア主義」を唱える人々が存在する(現在のアジア共同体主唱者)し他方では「親西欧主義社」を唱える人がいる。韓国の場合は前にも書いたように「日本」に対して分裂している。日本を憎む感情を持つ一方、日本のようになりたいという願望も持っているのである。朝鮮日報や中央日報の日本語版をみてもわかると思うが彼らは何かと比べる時まず日本を引き合いに出すのである。ロシアにおいても一方では「親西欧主義」があるのだがもう一方では「スラブ主義」という特徴を持っていてそれがプーチン政権の強権的手法に現れているのである。

 では中国に存在する分裂とはどのようなものだろうか。近代に入って中国人は自己の持っている自分が世界の中心であるという「中華思想」が全然通用しないことを知るようになった。半植民地状態になってしまった中国人は他国の人以上に「屈辱感」を抱くようになってしまったのである。

 現代中国の問題を考えていく上で「中華思想」とそれが達成できない「屈辱感」がキー・ワ−ドになっていると私は思う。そこで次回はこれらの言葉から中国共産党の将来を考えてみようと思う
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by masaya1967.7 | 2007-01-06 06:58

中国が北朝鮮の核排除に真剣にならない理由

 中国が北朝鮮の核を取り除くことに真剣にならない理由は次のようなメカニズムが働いているのではないか。

 1 北朝鮮の核武装が日本の核武装を誘発することを中国が内心恐れていることはキッシンジャーのいうとおり間違いないだろう。そこで日本の政府当局者が日本の核保有議論を行うことは中国を北朝鮮問題に真剣に取り組ませる契機になるであろう。

 2 ところが日本の核論議に敏感に反応したのは中国ではなくアメリカであった。ライス国務長官が日本に飛んできて大声で日本の安全保障をfull range, full rangeで行うと言明して帰ってしまった。

 3 そんなわけで中国の心配の種をアメリカが除去してしまったのだから、中国が北朝鮮に対して真剣に行動する訳が無いのである。

 このようなメカニズムが働いていく限り北朝鮮の核問題はずるずる続いていくのである。
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by masaya1967.7 | 2007-01-03 22:49 | 国際政治

ギ・ソルマン 2

 ギ・ソルマン氏が中央日報に語った、中朝関係に関すること、「統一に対しては2つの場合を考えることができる。思ったより長くかかることもあり得るし、急に訪れることもあり得るという話だ。ただ太陽政策の結果として統一は訪れないだろう。統一は中国が北朝鮮を忘れた瞬間にやってくる。中国が果たして北朝鮮を捨てることができるか。中国の体制がある日変わったら可能なことだ」と述べているのはパーフェクトだと思う。

 しかし、日本に関することでは疑問に思う箇所がある。日本は朝鮮半島の統一を恐れているのだろうか。朝鮮半島が独立を保っていく限り全然恐れる必要は無いと思う。拉致被害者のことを考えれば、早く北朝鮮が滅亡してくれることを祈るばかりである。しかし戦争を起こしてでも北朝鮮を崩壊さすべきかまでは考えていない。アメリカがイラク戦争みたいなことを北朝鮮に対して行うのではないかとの一抹の不安を多くの日本人は抱いていると思う。
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by masaya1967.7 | 2007-01-02 23:41 | 国際政治