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憲法改正の挫折

 このところ、各種の世論調査で憲法改正の賛成の比率が下がってきているという。そのことで、最も納得できる理由は、日本人がアメリカのイラク戦争を見てもし憲法改正を今行ったら、日本もこのような戦争につきあわされるのではないかという畏れによるものだというものである。

 私はこのような状態になったのは、大部分岡崎久彦を中心とする親米派のせいだと思っている。解説しよう。

 まず最初に日本は何故アメリカのイラク戦争に賛成したのだろう。エマニュエル・トッドは次のように述べている。

 「日本政府がアメリカの行動を受け入れた理由は、日本の地政学的孤立によって大方説明がつく。ドイツはヨーロッパの中に包含され、一応は核武装大国であるフランスと手を結んでいるため、非常に弱体化したロシアと協調することができ、戦略的犠牲を払うことなしに、アメリカの統制を逃れることができる。日本の方は北朝鮮問題とアメリカ合衆国にかわる地域同盟者がいないことを考慮しなくてはならない」

 同じようなことは、片岡鉄哉もいっていたように思う。結局、日本は自主防衛ができない。そこで将来、北朝鮮や中国の問題で危機に直面したら、アメリカしか頼みとなる国はいない。だからイラク戦争は侵略かもしれないが、支持するしかないのだという論理だった。

 ちょうどその時、岡崎久彦は新聞紙面で次のように書いていた。

 「イラク攻撃に成功すると、世界情勢は全部変わる。なにをもって成功かというと、イラクに民主主義親米政権ができることだ。そこまでいくと、今度はパレスチナ問題も解決するかもしれない。民主主義勢力とイスラム宗教界が拮抗しているイランも、大きく影響され、イランの変化は中東全体が変わる契機となる。中東だけではない。北朝鮮は震え上がり、中国もおとなしくなる。台湾問題も、中国側が引っ込む形で解決する可能性がある。つまり、イラク攻撃が終わったところで、9・11の真の結果がでてくる。成功の可能性は90%あると思う」

  “What a wonderful world”である。

 しかし、岡崎久彦の予測は100%間違っていた。イラクが泥沼になったことで、あろうことかアメリカは北朝鮮に大きく譲歩しそうな勢いで、アメリカを支持した日本が孤立しそうな情勢である。

 何が間違っていたのだろう。やっぱり日本は自主防衛に向かって努力するべきだったのではないだろうか。仮に日本が英・仏のように核武装していたら、今回のアメリカのイラク戦争に賛成したのだろうか。ヨーロッパ大陸諸国のように反対になっていた可能性が高い。軍事力とモラルはやっぱり関係あるのだ。

 
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by masaya1967.7 | 2007-05-29 02:40

ロンドン・エコノミストの分析

 ロンドン・エコノミストに北朝鮮のミサイル発射についての分析記事がでていました。

As with previous stunts orchestrated by North Korea's isolated leadership—including the big one of testing a nuclear device last year—the desire may have been designed, in large part, to get attention from the outside world. Another theory is that Pyongyang was annoyed after South Korea launched a new destroyer.

 ミサイル発射を行ったのは外国からの注目を浴びようとするものともう一つの可能性として韓国がイージス艦を発進させたことを指摘している。

 In America the latest military activity may also put pressure on Mr Hill and on the secretary of state, Condoleezza Rice, who have led the new dialogue with North Korea, offering rewards for nuclear compliance. America’s previous stance of uncompromising hostility towards one of the three countries described by George Bush as an “axis of evil” led nowhere. But Ms Rice is under pressure from sceptics in the administration for being too soft on North Korea. Depsite the success of a provisional deal in February, if North Korea fails to deliver on promises made about closing down its nuclear plants and if it continues to launch missiles, hopes for progress may look as dismal as they did a year ago.

 アメリカの悪の枢軸と指摘した従来の北朝鮮の政策はうまくいかなかったが、現在のライス国務長官が主導する政策も北朝鮮に対して甘すぎるという他の政権メンバーからのプレッシャーを受けている。もし北朝鮮がnuclear plants を閉鎖することに失敗し、ミサイルを発射し続けるなら見通しは去年と何ら変わらないものとなる。

 
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by masaya1967.7 | 2007-05-27 00:16

米朝関係

 国際戦略コラムより

BDA銀行の北朝鮮の口座にある資金を海外の銀行に送金する問題
が長引いている。当初、中国銀行を経由して送金されるはずが、中
国金融当局は中国銀行と米銀との取引停止という制裁の可能性があ
るために、拒否した。

このため、韓国の銀行を経由して送金しようと韓国外交通商相が提
案したが、米国財務省に問い合わせした結果、やはり取引停止の可
能性があると回答されて、断念した。

そこで国務省ヒル国務次官補は米国の銀行を経由して、送金しよう
と財務省に特例を申請していたが、ポールソン米財務長官が拒否し
ているようである。

国務省と財務省がこの問題で意見が対立している。ポールソン財務
長官は親中国派として米政権内では認知されているが、この北朝鮮
問題では、タカ派である。中国ハト派でいるために北朝鮮ではタカ
派のポーズを取り、チェイニー副大統領のご機嫌を採っているよう
にも見える。それほど、ホールソン財務長官が大きな壁になってい
る。

ヒル国務次官補は、早期解決への期待を表明するが、財務省が首を
縦に振らないと無理である。ライス長官もイラクなど中東問題を優
先して、東アジアでの紛争を当面放置したいのでしょうが、拉致問
題をも含めて、日本がいるために、チェイニー副大統領が東アジア
でもタカ派でガンバッテいる。

このために、国務省の思い通りになっていない。また、日本は拉致
問題解決がないと金を出さないと明言しているために、次のフェー
ズで金を出す国がないことから、北朝鮮問題は暗礁に乗り上げるこ
とが明確になっている。

ヒル国務次官補の交渉しなければならない相手が多すぎる状態にな
り、かつその交渉相手は北朝鮮の今までの頑なな対応で煮え湯を飲
まされた経験を持っているために、そう簡単に妥協をしない。

北朝鮮問題が、北朝鮮自体を蚊帳の外にして、交渉している。これ
に対して、北朝鮮はミサイルを発射するぐらいしかない。それに対
しても、関係諸国には免疫ができている。大騒ぎをしない。それを
すれば北朝鮮の思う壺であることを経験している。

このように、北朝鮮の無力さが浮き彫りになっている。金融取引が
できない状態で、ロンドン市場に保有している金を売却して、食い
つないでいるが、いつまで続けられるかでしょうね。真綿で首を絞
められる状態になっている。
さあ、どうなりますか??
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 この記事によりなぜ米朝の交渉が行き詰まっているのがよくわかった。ブッシュ大統領はイラク問題で頭が一杯で、北朝鮮政策で指導力が発揮できていない。そこで各省庁が各々の利害を勝手に追求しているのだろう。昨日の『朝まで生テレビ』で姜尚中がアメリカが宥和政策をとったと断言していたが、あいかわらずの早とちりである。

 さて北朝鮮にとって国際社会から無視されることがいちばんつらい。そこで今回の交渉が長引くようになったら、また過激なことをしないか心配である。先日短距離ミサイルを発射したが、それが第一の合図であるように思う。
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by masaya1967.7 | 2007-05-26 21:44

姜尚中氏、北朝鮮問題でまた新書を出している。

 イジョンシク氏は『朝鮮半島最後の陰謀』で次のように書いています。

 「2007年2月の6カ国協議で「核の放棄」と引き換えに、重油供給の約束を取り付け、いったんは国際協調のレールに乗ったかに見受けられる北朝鮮は、早晩「核の放棄」を取り下げ、再び抜き差しならない国際緊張状態を背景にさらなる無理難題を要求するからです」48ページ

 私は姜尚中氏の根拠無き「脱冷戦論」よりイジョンシク氏のこちらの文章のほうに説得力があるように思う。しかしながらイ氏はこの本の中でアメリカは必ず北朝鮮に戦争を仕掛けると書いているが、こちらはどうだろう。

 イ氏はその理由をアメリカが「覇権国家」であることに求めているが、アメリカはイラク失敗で今回の北朝鮮に対する融和政策を行っているのではないか。

 もしアメリカがイランに戦争を仕掛けることが明らかになってはじめて、次は北朝鮮ではないかとの疑いを持つことができる。現在、アメリカと北朝鮮が戦争することを考えるのは時期尚早である。
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by masaya1967.7 | 2007-05-18 22:53

中国のぼろぼろになった新幹線

『2007年5月17日、鉄道高速化計画の目玉として登場した弾丸列車が走行を開始して1か月、定期点検のため河南省鄭州市の鉄道局検査場に戻ってきた。約100人の技術者が車体を検査したところ、無残なほどボロボロにされていることがわかった。』(Record China)

 今月号の『正論』に中国人評論家石平氏が西郷隆盛と袁世凱を比較したおもしろい評論を書いています。西郷隆盛は「征韓論」を訴えますが、それが明治政府の多数にならないことを知ると彼は参議をやめてしまいます。この西郷の潔さをみて石平氏は不思議に思うのでした。西郷のような謀略や腕力を持つようなものならば他の反対派を簡単にひねりつぶせたのではないか、と。

 よく考えてみたら石平氏のいうことはもっともで、袁世凱は辛亥革命を徹底的に「わたくし」のために利用し最後には果たせなかったものの皇帝になろうとさえします。毛沢東も大躍進政策で大失敗した後に、権力闘争で復活するためにあの文化大革命を起こすのです。

 新幹線がぼろぼろになったニュースを読んで、中国には上から下まで「公」の意識が徹底的に欠けています。そのような中国がこれから効率的な近代国家になるのでしょうか。私には信じられません。
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by masaya1967.7 | 2007-05-18 20:58

オウム真理教と北朝鮮

 イジョンシク氏が書いた『朝鮮半島最後の陰謀』にオウム真理教と北朝鮮の関係で示唆に富む記述があったのでここに報告してみたい。彼の以前の著書『愚かな韓国人に鉄槌を』の中でも韓国系日本人の政治家新井将敬氏の自殺に関する彼の考察に妙にリアリティーがあると感じたものだった。

 「ロシアの闇社会に太いパイプを持つ早川紀代秀は、麻原彰晃を叱責するほどの教団内実力者であり、陰の尊師と呼ばれていたというのです。
 一方、若手の実力者の筆頭株であった村井秀夫は、サリン製造で構築した北朝鮮とのパイプを独占することで、早川紀代秀に対する政治的均衡を保っていたのだといいます。
 村井秀夫が指揮するサリン製造と、サリンによる「終末(ハルマゲドン)テロ」が成功すれば、教団内の地位は確固たるものとなり、ゆくゆくは名実共に教団ナンバー2として君臨することも可能だったでしょう。
 当時オウム真理教は官僚体質の悪癖に侵されていて、それぞれの幹部が、それぞれの分野で功名を競い、自分の既得権は決して他の信者には公表しなかったので、まさに縦割り行政そのものだったそうです。
 そこに北朝鮮の特殊工作員が村井秀夫の側近として侍り、様々な便宜を図り、秘密を共有し、派閥意識をあおり「有能なトカゲの尾っぽ」に仕立て上げたということです」31ページ

 結局村井秀夫は韓国籍の男に殺されるわけですが、その「犯人の父親は、バブル崩壊によるビジネスの失敗で、億単位にのぼる莫大な借金を抱えていた。しかも父親は朝鮮総連と深い関係にあった。ヤクザものとはいえ儒教思想に呪縛された朝鮮人の犯人は、その借金を精算するため、そして祖国を守るために引き受けたんだ」。

 すごいリアリティーがあると思いませんか。
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by masaya1967.7 | 2007-05-17 04:52

「週刊朝日」の姜尚中

 何週かに渡って川人博弁護士と姜尚中氏とが「週刊朝日」において激しい論戦を繰り広げているが、二人の論点がかみ合ってないせいかお互い言いっ放しになっている感がいなめない。ここでは姜尚中氏の北朝鮮に対する論点にしぼって書いてみたい。

 彼の願望は「北朝鮮の核放棄と朝鮮半島の非核化は、それにむけたステップであり、その延長上に米朝国交正常化が成し遂げられ、南北朝鮮・米・中4カ国による平和協定の締結が実現されれば、名実ともに東北アジアの地域の冷戦時代は終わることになる」ということにつきるだろう。

 私も、このような状態になるのが理想だと思う。ただし冷戦時代が終わるというのは言い過ぎで、あくまでもデタントが達成されるということに過ぎない。冷戦が終わるということはアジアにおいても共産党支配が無くなったときのことをいうのである。「朝まで生テレビ」などにおいての姜尚中氏の主張も同様なのだが、彼の言うことを北朝鮮がいつも聞き入れないということが問題なのである。今回の6カ国協議の問題でも明らかなように、北朝鮮は本当にこちら側が譲歩すれば核兵器を放棄する用意はあるのだろうか。94年の核危機以来の歴史を振り返れば、金日成が主席のときならば核の放棄と安全保障の交換はあったかもしれない。しかし金正日の治世になってもそれは可能なのだろうか。(さらに言えば、金正日が核兵器を巡って父親を謀殺したという説もあるぐらいなのだから)防衛研究所の武貞秀司氏のように現在の情勢を正確に認識してきた人は、一貫して金正日の核保有の意思を指摘してきた。その金正日に対して姜尚中氏はいかにして核放棄を飲ませるつもりなのだろう。

 さらに姜尚中氏はもし自分の望む通りのシナリオに向かったら、「そうなったとき、否応無しに、現在の北朝鮮の体制は、何らかの「変革」を余儀なくされるはずだ」と述べているが、もしそれが事実ならば、そんな危険なシナリオに金正日が乗ってくるはずがないと考えるのが自然ではないのか。結局彼のいうことは現実感の全くない理想論にすぎないのである。
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by masaya1967.7 | 2007-05-16 02:12

6カ国協議「再考」

 南北朝鮮、アメリカ、日本、中国、ロシアで6カ国協議を開いて、北朝鮮の核問題を話し合うというモデルの先例になったのは、米ソ冷戦中の「ベルリン問題」にあった。キッシンジャーの『外交』には次のように書いている。

 「ソ連邦が支配する領域内に深く入り込んだ飛び地としてのベルリンの法的地位は、第2次世界停戦の4戦勝国に占領されているとの法的な擬制に基づくものであった。したがって、ベルリンに関する交渉は、アメリカ、イギリス、フランス、ソ連邦によって行われる必要があった。したがってソ連邦の指導者とブラント(彼のきわめて有能な側近であったエゴン・バールを通じて)は、膠着状態を打開するための助けをアメリカに求めた。複雑な交渉の結果、1971年夏に4大国の新たな合意(ベルリン協定)が成立し、西ベルリンの自由と同市への西側へのアクセスが保証された。それ以降ベルリンは国際的な紛争地域のリストから消えたのである。ベルリンが国際的な問題として次に登場するのは壁が取り壊され、ドイツ民主共和国(東ドイツ)が崩壊したときである。」下巻 407ページ

 このように2+4という枠組みが出てきたのは、デタントの一環だったのである。そこで北朝鮮に核放棄の意思があり、さらに南進を完全に放棄するのならこのデタント戦略は意義あるものとなるのだが、現時点では韓国が北朝鮮に対して一方的に譲歩している。結局2+4の枠組みが真に有効になるのは北朝鮮が崩壊して南北統一が完成し周りの大国がそれを保障する時点においてではないか。
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by masaya1967.7 | 2007-05-12 23:36

久しぶりの朝鮮半島

 『朝鮮日報』より

 『北朝鮮の核問題がバンコ・デルタ・アジア(BDA)の北朝鮮資金移転問題で進展しない中、米国と日本で現在の交渉姿勢を非難する声が高まっている。中国も合意の実行に着手しない北朝鮮に圧迫を加えているとの分析もなされている。

 ニューヨーク・タイムズは9日付のコラムで、「北朝鮮が忍耐力を試している」「6カ国協議での合意に明記された核の無能力化と廃棄、非核化が何を意味するのか具体的な内容もない」とホワイトハウスを非難した。ワシントン・ポストは8日付の社説で米国が北朝鮮の要求によりBDAに凍結された資金の全額についてその出所を問わず解除したが、問題はまったく解決していないとし、「北朝鮮は米国財務省が国際金融市場に打ち立てたルールまでも破壊しようとしているのにブッシュ政権は沈黙を守っている」と指摘した。

 米国政府のある関係者は「BDA問題が解決してもその後は北朝鮮による核プログラム報告、核施設閉鎖、さらには経済支援や韓半島(朝鮮半島)平和交渉、米朝関係正常化など、それこそ戦略的決断が必要な問題が数多く残っているが、北朝鮮が毎回問題を指摘し要求を増やせばどうやって進展させるのか予測もできない」と指摘した。

 雰囲気が悪化すると意欲的に核問題解決に取り組んできたヒル国務次官補も、「結局北朝鮮にだまされた」という強硬派の批判に直面しており意欲を失いつつあると伝えられている。ヒル次官補は4日にジョンズ・ホプキンス大学大学院主催の韓米関係についての講演で、「6カ国協議での合意が年内に履行されなければ自分はこの地位にはいないだろう」とも語った。

 昨年の北朝鮮によるミサイル発射や核実験以降、北朝鮮に対して独自の制裁措置を行ってきた日本も、北朝鮮が6カ国協議での合意内容を実行に移さなければ追加の制裁発動を検討していると読売新聞が10日付で報じた。

 日本が検討している追加制裁案はぜいたく品や大量破壊兵器関連品目に制限されてきた輸出禁止措置を全面輸出禁止に拡大し、入港禁止船舶を北朝鮮船籍から北朝鮮を経由した第3国の船舶にまで拡大して、15の団体と一人の個人に限定されていた送金禁止対象を拡大するという内容を含んでいる。

 中国も北朝鮮に初期段階措置の実行を促すために貨物列車の運行縮減などの圧迫を加えていると麻生太郎外相が明らかにした。』

 私はアメリカが北朝鮮に対してこんなに譲歩するとは思っていなかった。不明を詫びるしかない。しかしながら北朝鮮に対して譲歩してもあまり意味がないと思っていたから、このような結果になったのは全然驚くにあたらない。6カ国協議の信頼性は限りなくゼロに近い、この協議で北に核放棄を迫ることは本当にできるのだろうか。

 北朝鮮に核を放棄させることと、日本人拉致被害者が全員帰国できるのはやはり北朝鮮という国家がこの世から無くなったときではないのだろうか。

 
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by masaya1967.7 | 2007-05-12 04:36