<   2007年 07月 ( 7 )   > この月の画像一覧

おさらい朝鮮問題

 6カ国協議が閉幕したので、ここで朝鮮問題のおさらいをしてみたい。

 私は、北朝鮮による拉致問題も核問題も根本的に解決するには北朝鮮が崩壊した時しかないと思っている。ではいつ北朝鮮は無くなるのだろうか。

 朝鮮半島の近代史をみていくと次のようなことがわかる。朝鮮半島が宗主国中国の手から離れ独立を達成したのは、日清戦争の後のことであった。日本に併合されたのは、日露戦争の結果であった。さらに南北に分断されたのは、日本の敗戦と米ソ冷戦の結果であった。このように韓国の体制が決まったのは周辺を囲む大国の争いの結果起こったことであって、朝鮮半島の事情によるものではない。

 では、この歴史パターンを現代に当てはめた場合にはどのようなことが考えられるだろうか。一つ目はアメリカが米韓同盟を葬り去ってしまうことである。この場合は核武装した北朝鮮主導で統一が進むであろう。もう一つは中国が北朝鮮を見捨てる場合である。こちらの場合は韓国主導で統一が進むはずである。

 このような歴史的(帰納的)な見方が不満な人には「比較」を使って説得してみたい。冷戦中分断していた国家が統一した例はわれわれの近くに2つ存在する。ベトナムとドイツの場合である。アメリカが支える南ベトナムと中・ソが支える北ベトナムが戦って、結局アメリカは支えきれなくなり撤退した。その結果北ベトナム主導で統一を達成したのだ。ドイツ統一の場合は、ゴルバチョフが登場し、東ドイツの住人が隣国を通って西ドイツに入ることを許可せざるを得なくなった。その結果東ドイツの住人がベルリンの壁を越えるのを東ドイツ当局も黙認せざるをえなかったのである。

 これらの分裂した国家が統一を果たした場合において最も大きな影響があったのは周りの大国の事情であって、分裂した国の事情ではないのである。

 よってもっとも可能性があるのは、中国においてゴルバチョフのような人が出てきて中朝の国境を本格的に解放すれば北朝鮮はもたないだろう。このことはファン・ジャンヨプ元書記もおっしゃっていたが、中国の頑迷のため氏はあきらめてしまったようだ。
[PR]
by masaya1967.7 | 2007-07-21 00:43

続 慰安婦決議

 朝鮮日報より

 日本政府は、旧日本軍の「慰安婦」強制動員に対し日本政府の正式な謝罪を促す決議案が来月、米下院で可決されれば、日米関係は悪化するだろうと警告した。米ワシントン・ポスト紙が18日、報じた。

 同紙はこの日、加藤良三駐米日本大使が先月22日にペロシ米下院議長ら下院の指導者5人に書簡を送り、「慰安婦決議案可決は日米両国の深い友好関係と信頼、広範囲な協力において長期的に良くない影響を及ぼすことは明らか」と述べたことを伝えた。

 同紙が入手したこの書簡によると、加藤大使は決議案が可決されれば米国の対イラク政策を支持してきた日本の方針が変わる可能性もあることを示唆している。加藤大使は、このほど日本政府がイラク再建関連支出を2年延長したことに触れ、「決議案が可決すれば米国に良くない影響がある」と指摘した。日本は米国に次いでイラク再建に最も多く寄与している。
……………………………………………………………………………………………………
筆者は以前から慰安婦決議を排日移民法案に似ていると指摘してきた。この朝鮮日報の記事が正しければ、ますます同じような経過をたどっている。

 岡崎久彦氏の『幣原喜重郎とその時代』から引用しよう。
 「1924年の排日移民法は日本からの移民をいっさい不可能とした。それがあまりにも意図的に反日的であったので日本の世論は激高し、当時ヴェルサイユ体制下でようやく力を持ちつつあった日本の国際協調主義者、親米派に大打撃を与えた。
 また埴原正直駐米大使が、強い表現で抗議した方が良いというアメリカ国務長官の示唆もあったらしく、この移民法案ができると日米関係に「重大な結果が生じる」ことを恐れると述べたが、アメリカ上院のロッジ外交委員長は、これをまた逆手にとって、これはアメリカを脅迫するものだと煽動して法案を通した」

 今回の加藤良三駐米大使の努力も無駄に終わる気がする。
[PR]
by masaya1967.7 | 2007-07-19 14:34

集団的自衛権

 日本が集団的自衛権を認めて日米同盟の片務性を解消すれば、日米同盟を強化することができると考えている保守系の人は多いと思われる。岡崎久彦は以前からこの説を唱えてきたし、安倍総理もそう考えているから側近の学者に検討させているのだろう。

 しかしながら、現実はそうなっていない。アメリカが9.11で攻撃を受けて、NATO諸国は初めて集団的自衛権を発動した。これでNATOは強化されたのだろうか。次にイラク戦争がやってきたフランスとドイツはこの戦争に反対した。アメリカはイギリスだけと戦わざるを得なかったのである。ニューズ・ウィーク国際版の編集長であるファーリード・ザカリアはこの時のことを次のように語っている。

 「冷戦中において、スエズ危機、ヴェトナム戦争、パーシング・ミサイル、グレナダなど戦術的な問題ではアメリカとヨーロッパの間では意見が一致しなかったが、ソビエトに対する戦略的な問題では必ず一致していたため、問題は妥協によって処理された。ところが今回のイラク戦争では、イラクが戦術的な問題であるにも関わらず一致できなかったのは仏・独の戦略的な関心が世界を圧倒するアメリカにいかに歯止めをかけるかにあったからである」

 言い換えれば、冷戦中は共通の敵ソビエトを抱えていたために、同盟関係は円滑に動いたのであるが、冷戦後は共通の敵はいなくなったしまった。そこでそれぞれの国益が違いがもろにでてきたのである。同盟の維持には共通の敵が重要なのであって、集団的自衛権にあるのではない。
[PR]
by masaya1967.7 | 2007-07-13 12:16

日米同盟が終わるとき 2

 日米同盟の将来を考えるときに参考になるのが日英同盟の経過である。最初に日英同盟が結ばれた理由は、明らかにロシアからの脅威を日英両国は意識していた。

 ところで日露戦争で日本がロシアに勝ったことで、ロシアからの脅威は幾分減ることになった。そこで日英同盟は同盟の改訂を交渉することになるが、その結果日英同盟の仮想敵国はいつのまにドイツになってしまったのである。

 第1次大戦でドイツは敗れてしまう。日英同盟はまたも潜在的敵国を失ってしまうのである。結局はアメリカの反対もあり、日英同盟は解消されることになった。

 仮想敵を失うと同盟は維持できないという、キッシンジャーの命題は日英同盟について完璧に当たっているのだ。
[PR]
by masaya1967.7 | 2007-07-11 05:53

日米同盟が終わるとき

 日米同盟はこれからも永遠に続いていくのだろうか。それともいつか終わる時が来るのだろうか。今回はこの問題について考えてみたい。

 まず最初に同盟とはいったいどういう風に定義づけられるのだろうか。ここではキッシンジャーの外交から引用してみたい。

 「本質において、集団安全保障の概念と同盟の概念は180度反対のものだからである。伝統的な同盟は特定の脅威に対するものであり、それぞれの国益を共有するかあるいは共通の安全保障上の懸念を有することによって関係づけられた特定国家間の義務を正確に定義づけるものであった。これに対して、集団安全保障は特定の脅威を定義づけず、特定の一国に保障を与えるものでない反面、どの国も差別しなかった。集団安全保障は理論上、どの国によってなされようが、またそれがどの国に向けられたものであろうが、平和に対するいかなる脅威にも対抗するために作られるのである。同盟はいつも特定の潜在的敵国を仮定しているのに対し、集団安全保障は国際法を一般的に守るものであり、それはちょうど国内で司法制度が刑法を支えているのと同じように、国際法を支えようとしたものである」 348ページ(上巻)

 この説明からわかるように、同盟には潜在的敵国が必要なのである。ここで一つ疑問がわいてくる。米ソ冷戦が終了した現在、日米同盟が想定している潜在的な敵国とはどこの国を指しているのだろうか。

潮匡人は次のように書いている。

 「北朝鮮が南進するといった事態が発生しても、周辺事態法(ガイドライン)が適用される余地は意外と小さいからである。韓国防衛に任ずる米軍は、国連旗を掲げた国連軍であり、多くのケースが国連軍地位協定で処理されるべき問題である。多国籍軍が編成された場合についての法的処理は未整備だが、周辺事態法とは無関係である。『テポドンが飛んできたら、どうするのか』とか、『北朝鮮のテロ・ゲリラ攻撃』等々が議論されたが、それらは防衛出動を発令すべき日本有事であり、『周辺事態』ではない。要するに、朝鮮半島に関して、周辺事態法が適用される余地はほとんど無いのである。日米ガイドラインの対象は北朝鮮ではなく中国である。台湾海峡有事こそが『周辺事態』である」

 潮氏が書いているように、ガイドライン以降の日米同盟の潜在的敵国は中国なのである。もちろん政府は中国政府を刺激するからあえて口には出さないだろう。しかし同盟の定義から推測していけば相手は中国しか無いのだ。

 そこで将来中国が民主化を達成したと仮定してみよう。そうすれば中国からの脅威はずいぶん減ってくるであろう。そうなったときに、日米同盟は維持することが可能なのであろうか。
[PR]
by masaya1967.7 | 2007-07-10 15:15

ソウル・オリンピック

 私が最初に韓国を意識したのは、ソウル・オリンピックの時だった。日本人選手に対するブーイングはすさまじく、審判までそれに影響される始末であった。結局、日本のメダル数もあまりのびなかったと記憶している。

 ソウル・オリンピックの時私はまだノンポリの理系の学生であったが、あのブーイングで初めて他国の日本に対する敵意というものを知った気がする。

 さて来年は北京・オリンピックである。ソウルの時よりも個人的にすごくなるのではないかと思う。日本選手団は無事に開会式を行進することができるのだろうか。
[PR]
by masaya1967.7 | 2007-07-04 05:18

久間防衛庁長官のしょうがない発言

 今朝の『サンデー・プロジェクト』で朝日新聞の編集委員の人が久間発言について、彼はアメリカのイラク戦争を批判していたからそのことへのリカバリーの意味もあったのだろうと述べていた。

  久間氏はイラク戦争を批判したことで、チェイニー副大統領に会えなかったし、さぞ仕事がやりづらかったと思う。彼のイラク戦争の発言が間違っていたとは思わないが、ブレジンスキー元大統領補佐官に『保護国』と呼ばれるような日本の防衛大臣の言葉としては軽率すぎた。久間大臣が反省して、より日本の防衛の自立性に向かっていけば良かったのだが、彼は簡単に国を売るような発言をしてしまった。日本にはこんな政治家ばっかりしかいない。

 さて原爆について考えてみよう。私の最も尊敬する歴史家、鳥居民氏の説はこうである。ルーズベルト政権の末期、国務次官に日本滞在の経験の長いグルーがついた。グルーは日本が天皇の命を保証する条項があれば早期に降伏すると思っていた。しかしルーズベルトが亡くなった後大統領になったトルーマンは一向にグルーの要求を受け入れようとしなかった。

 それは何故だったのか。トルーマンは大統領になって初めて原爆開発の事実を知った。そして彼はそれを日本に対して使いたくなった。そこでグルーが望むような天皇条項を入れると、日本は原爆を落とす前に降伏してしまう。そこで天皇条項を削除した降伏条件を提示したのだ。鈴木貫太郎は当然それを『黙殺』することになる。

 さらにトルーマン大統領にとって気がかりなことがあった。それはソビエトの参戦であった。ソビエト連邦が原爆を落とす前に参戦すると日本が先に降伏してしまう可能性があった。日本はソ連に仲介を頼もうとしていたのだから、そのソ連に裏切られたら精神的ショックは大きいだろう。トルーマンは最初ソビエトに対して冷淡だったが、次第に態度を変えていく。その理由を鳥居氏はいつソ連が日本に侵攻することになるか、その日時を探ることにあったとの仮説を用いている。

 結局ソビエトの参戦前に、アメリカは日本に原爆を落とすことになるのだ。鳥居氏の説に説得性があるのは後に日本に提示されたポツダム宣言はそれ以前よりも天皇条項が入っていたことで融和的だったのである。なぜ原爆が成功したアメリカが日本に融和的になったのかの理由は彼の著作が示すように『原爆を投下するまで日本を降伏させるな』だったからである。

 久間大臣の言おうとしたことは、「ソ連が原爆投下の前に、日本に参戦していたら日本は降伏していただろう。その代わりに日本は北海道をソ連に盗られていたかもしれない。だから原爆投下はしょうがなかった」という論理である。

 本当なら、こう尋ねなければいけなかったのである。何故アメリカはグルー国務次官の意見を入れて、天皇条項を入れた降伏条件をもっと早く提示しなかったのか。結局は日本に原爆を投下したかったからだろう、と。

 
[PR]
by masaya1967.7 | 2007-07-01 23:48