この本の主題は「他国の勃興」(The rise of the rest)にあるのだが、ザカリアはその中の中心をしめるインドと中国について詳しく書いている。彼はインドより中国の方が発展の可能性があると考えている。そういえばThe Second Worldを書いたカンナも中国の方を重視していた。これらインド系知識人が中国を重視するのには中国の潜在的な経済成長力にある。ザカリアは中国の経済について次のように考えている。
「中国はかなり開かれた貿易と投資の政策を追求している。これらの理由から中国は決して新しい日本ではない。北京は、国内の市場や社会をを保護して輸出主導の経済成長を進めた日本のやり方を適用していない。中国は世界に向けて国を開いたのである。現在中国経済に貿易が占める割合は70%にも達しているのである。」91ー92頁 一方ザカリアは日本について次のように書いている(この本は色々なところで日本が顔を出すのだが、ほとんどが反面教師の役割を演じている。) 「1985年、日本は既に世界で第2番目の経済大国であった。多数の専門家は日本がアメリカを追い越すだろうと信じていた。しかし日本の経済、制度、政治が完璧に近代化されていなかったので、日本は最後の跳躍につまずいてしまったのである」 20頁 このようにザカリアの場合(カンナの場合も同じなのだが)日本と中国を比較して日本は失敗したが中国はうまくいくだろうと予測するのである。しかし私はこの考え方は非常に問題があると思う。 この問題を考えるにあたり、ザカリアの本でイラク戦争とそれを遡る100年前のイギリスのボーア戦争を比較している部分があるので、その部分を利用して日本と中国の問題を考えてみたい。
by masaya1967.7
| 2008-05-22 22:01
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