北京大学のマイケル・ペティス教授は現在の中国が大恐慌時のアメリカに似ているという。貿易収支の黒字が世界のGDPの0.5%をしめ、外貨準備高が世界史に類を見ない程たまり、それを輸出先に補填していたことなどが全く同じであるというのだ。
「もしアメリカの過剰消費が世界のインバランスの半分を占めるなら、アメリカの借金まみれの家計消費がアメリカ政府主導の過剰消費に変わってもあまり助けにはならない。根本的なインバランスの問題は、ケインズなら1930年代と同じように、アメリカが過剰消費を止めて中国が過剰供給をやめること(国内消費を増やすか、工場を閉鎖することによって)と言ったであろう。」 アメリカで貿易収支が急激に悪化したのはレーガン政権のときであった。彼は「悪の帝国」ソビエトを倒すために、大軍拡と大減税を行った。これは当時レーガノミックスと呼ばれていた。この時からアメリカは供給以上の消費を行うようになったのである。 この時代アメリカの消費を支えたのが日本の供給力であった。この時代日本の企業は膨大な借金をして設備投資をしていたが、シャルマが言うとおりにGDPの350%に及ぶ借金に耐えかねたかのようにバブルが崩壊して長期の低成長時代を迎えるのである。本来ならこの時点でアメリカにおいてもrebalancingの動きがあってもおかしくはなかった。そうならなかったのは明治維新以来日本の真似をし続けている中国のおかげであった。 しかし今回の不況でアメリカの過剰消費の時代がようやく終わろうとしている。ここ数年間アメリカの家計が借金苦から開放されない限り低成長が続くであろう。問題は世界各国が不況から立ち直ろうと巨額の財政支出を行うがそのことによってインフレの懸念はないのだろうか。レーガン大統領はアメリカの財政収支や貿易収支は悪化させたが、唯一成功したのはインフレ退治であったことは何となく示唆的である。
by masaya1967.7
| 2008-12-23 15:12
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