バーナンキ連銀総裁が以前に日本の政策をプアと評したり、ロンドン・エコノミストが日本のことをJAPAINと書いたり、アメリカ外交評議会のリチャード・ハースが我々は日本とは違うのだと主張したりして、日本の評価はさんざんだったのですが、実際にアメリカで金融危機が起きてから日本への評価が変わってきています。
先月の『ヴォイス』でポール・クルーグマンは「とはいえ、今おこっていることはそのすべてを強引にやったとしても、まだまだ恐ろしい状態が続くだろうということです。彼らが考えた以上に経済を好転させることは難しいということがわかります。この一年ではっきりしたことはわれわれは90年代の日本の政策に対しあまりに厳しかったということでしょう。」と語っています。 またファリード・ザカリアも次のように書いています。 「スピードもまた重要である。1990年代のアメリカの政策担当者連中は日本のバブル崩壊後の政策をバカにすることが習慣だった。ところが実際日本は過激な政策をとったのである。彼らは銀行に資本を注入したし、金利を下げたし、巨大な財政拡大を行ったのである。しかし日本人は問題に直面するまでに数年を要した、そのことが政策の効果を減じてしまったのである。アメリカ連銀は日本のことをよく学んでおり、日銀より素早い行動をとっている。しかしアメリカの政治システムは日本の政治より敏感に反応するのだろうか?」 さらにモルガン・スタンレーのシャルマなどは日本を積極的に評価しているのです。日本以外のアジア経済は外需に頼りすぎていた為に今回の経済危機で相当困っていますが、彼は「90年代の始めに日本は一人当たりの国民所得で30000ドルに達してから停滞したが、経済が力強く成長した時期を通じて輸出のGDPに占めるシェアはずっと10%位を保っていた。しかるにタイなどでは輸出の占める割合が60%に達しており、一人当たりの国民所得は4000ドルに過ぎない。日本の偉大な成功は1970年代と80年代に国内の投資と消費のスーパー・サイクルを作る条件を創造したことにある」 これらの言説を読んで、故片岡鉄哉氏が語っていたことを思い出しました。彼は、「日本人のやることは不透明なことが多い。それは内でも外でも黙っているからである。しかし理由を掘り下げると、これはもっともだと思うことの方が多い。これが学者としての私の経験である。」と書いているのです。(『さらば吉田茂』350頁)
by masaya1967.7
| 2009-01-30 21:42
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