現在のアメリカ外交を批判的に書いているアメリカ人の本の中に必ずとりあげられる政府文書がある。孫崎享氏が『日米同盟の正体』でこの文書を取り上げているので、それを紹介してみたい。この文書は1992年3月8日付けでニューヨーク・タイムズが「米国戦略計画はいかなるライバルも出現しないことを求める。」というタイトルで報じたものである。 「冷戦後の米国の政治的軍事的任務は他の超大国の出現を許さないことである。 唯一の超大国としての米国の地位を、十分な軍事力で永久化させる。 この目的達成のため、集団的国際主義を排する。危機において米国は単独で行動できるようにする。 有志連合はアドホックベースで形成される。 イラク・北朝鮮での核兵器、他の大量破壊兵器の拡散を防ぐため軍事使用の計画を考える。これを許すと日独の核保有化を誘導し、結果として米国との世界規模での競争を招く。 日独の軍事力増強、特に核兵器保有を阻止する。」 この文書は、孫崎氏の本には書いていないが、ブッシュ(息子)大統領時代の国防副長官をつとめたポール・ウォルフォウィッツがブッシュ(父)大統領の時代に書いたものである。書かれた当時はあまりにも過激だと批判されたが、孫崎さんはアメリカの外交はこの戦略にほぼ従っていると指摘している。これについては筆者も同感である。 オバマ大統領はチェンジといっているが、この文書で示された戦略を否定できるのだろうか。孫崎さんはそのことについて否定的に書いているが、筆者も同感である。
by masaya1967.7
| 2009-03-26 00:39
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